キャンピングカーをよく知らない人が考えがちな3大誤解のひとつが「大きさ」である。
最近でこそ、
「軽自動車のキャンピングカーって、あるんですってね」
と言われることも増えた。よく知られてきたんだな、と実感するとうれしくなる。
余談だが、流行の兆しが見え始めた頃(2000年代初頭)、ビルダーやディーラーからよく聞こえてきた言葉がある。
「なるべくキャンピングカーに見えない車が欲しいんです、って言うんだよなあ」
事実、世の中には
「キャンピングカーには見えないキャンピングカー」
がたくさん走っている。
キャンピングカーは高級品。
キャンピングカーは目立つ。
家に置いておくと、周囲の目が気になるのだろう。
「〇〇さんのお宅、キャンピングカー買ったみたいよ」
というわけだ。続く言葉は
「お金持ちはいいわねー」
あたりだろうか。
さすがにもうそんなことを言うお客さんはいないらしいが、日本人らしいといえば、らしいのかもしれない。
■そんなに大きな車なのか?
キャンピングカーと言われて、普通の人の頭にまず浮かぶのは
・白くて
・背が高くて
・大きい車
あたりだろう。
停める場所もないし、普段使いには不便そう。かといって乗用車と2台持ちするなんて、維持費を考えても無理無理無理……。
でもそこは、モノ作り日本。小さいものなら軽自動車ベースで4名乗車4名就寝が可能なんて車もある。とあるヨーロッパのビルダー関係者が、軽自動車のキャンピングカーを見て「Amazing!」と言ったなんて逸話も残っている
キャンピングカーは大きい物というのは誤解に過ぎない、今もっとも売れているのは、一般的な駐車場枠(2m×5m)に収まるサイズの車だ。そのサイズでも、キャンピングカーに必要なものは一通りそろっていて、普段使いにもレジャーにも兼用できるタイプなのだ。
考えてもみて欲しい。
冷蔵庫が付いていれば、冷凍食品や生ものを買っても、あわてて帰る必要はない。
週末のまとめ買いに付き合うのに疲れた家族は、キャンピングカーで昼寝して待つことだってできる。
キャンピングカーで通勤している人もいる。昼休みは「動く自宅」に戻って、電子レンジでお弁当を温め、テレビを見ながら、午後への英気を養うのだという。偶に、すっかりくつろいで、やる気スイッチがオフになってしまうこともあるらしいが…
運転の不安についてはどうだろう。
車が大きいと細かい切り替えしや取り回しが不安、ということなのだと思うが、車両の大きさと回転半径を冷静に考えてみると、案外慣れの問題で済むかもしれない。
たとえば国産キャンピングカー(バンコン)の代表的なベース車、トヨタ・ハイエースのハイルーフ車とトヨタ・JPNタクシーを比較してみよう。
大きさ(全長×全幅×全高)
ハイエース 4,695㎜×1,695㎜×2,240㎜
JPNタクシー 4,400㎜×1,695㎜×1,750㎜
最大回転半径
ハイエース 5.0m
JPNタクシー 5.3m
住宅街の細かい路地をスイスイ走る、宅配便のトラックをご存知だろう。
あの車のサイズとキャブコンを比較してみよう。
宅配便 5,140㎜×1,785㎜×2,650㎜
キャブコン 4,980㎜×1,980㎜×2,960㎜
いかがだろうか。
もちろん、人の恐怖心はいかんともしがたい。
だが、色が白くて背が高いと、実際以上に大きく見えてしまうのも事実。
バックモニターやサイドカメラを取り付けるなど、技術の力で安心を担保する方法はいくらもある。
もちろん、置き場所の問題もあろうから、軽率にお勧めするわけにはいかないが、
諸条件がクリアできるなら、
大きさをイメージだけで恐れるのはもったいないと思うのだ。